よほど立派なキャビネットでもなければ、寝具のマットレスは引っ越しで最大級の運搬物と言ってよいでしょう。カバー越しとはいえ肌に触れるものですし洗濯も容易ではありませんから、汚さず清潔なまま運搬したいものです。
引っ越し業者に梱包から何から丸投げしてしまえば楽ですが、料金はその分高くなります。
自分でできることはしておいた方が節約につながりますし、とにかく安心できますからね。今回は厄介者になりがちな引っ越しのマットレスに関するあれこれをまとめてみました。
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引っ越しの際のマットレスの梱包(カバー)方法
先ほども書いた通りマットレスの洗濯は容易ではありませんから、汚れがつかないように梱包する必要があります。梱包材も色々な種類がありますよ。
ホームセンターで比較的入手しやすいのがエアパッキンです。引越しの梱包材としてはお馴染みかもしれませんが、いわゆる「プチプチ」のことです。マットレスが大きいので、10メートル単位で売っているものを購入すると足りなくなる心配がありません。
マットレスの角はぶつけやすく、汚れたり破れたりしやすいので厳重に梱包を。エアパッキンで包んだ後はガムテープで封をして、ビニール紐などのロープで縛ります。
同じくホームセンターで手に入るものとしては大型のラップがあります。エアパッキンの時と同様に四隅をしっかりと梱包する必要がありますが、ラップの場合はその他の部分も何重かに巻いて厚めにしてください。ガムテープで止め、紐で縛るのも同じです。
家にあるものであれば、不要な(汚れてもいい)シーツや毛布を使うとお金が掛かりません。マットレス1枚につきシーツ(毛布)1枚では心もとないですが2枚あればこと足ります。ずれないようにビニール紐などでしっかり固定しましょう。
エアパッキン、大型ラップ、シーツ(毛布)を使う場合、雨が降っているのならさらにビニールを一番上に掛けて防水しておくのを推奨します。
引っ越し業者に依頼した場合、専用のマットレスカバーを用意してくれることがあります。防水性も高いので、用意してくれるのであれば使わない手はありません。サイズも伝えておくとピッタリの物を用意してくれるでしょう。
布団圧縮用の袋を使うと、体積を大幅に減らすことができます。ただし、バネが多いものや低反発素材を使ったものなど圧縮に適さないマットレスもあります。
ふっくらとした感触・ボリュームが損なわれたり、マットレスの機能を低下させたりなどのデメリットも他の方法より多いのでメリット・デメリットを天秤にかけて慎重に選択してください。
引っ越しでマットレスを自分で運ぶ方法とその料金
マットレスを自分で運ぶ場合、まずサイズを確認しておきましょう。これは搬出・搬入時の動線を確認するのに必要です。
一般的なマットレスは、縦195cm内外ですが、幅はセミシングルからキングサイズまで様々です。セミシングルであれば70cm~ですが、シングルは98cmと1m近くにもなります。
キングサイズになると幅180cmにもなり、縦も幅も下手をすると運搬者の背丈を越えてしまいます。こうなると到底一人では運ぶことはできません(セミシングルでも一人で運搬するのは難しいでしょう)。
作業を手伝ってくれる人を一人確保するのは必須になってきます。謝礼も必要になりますが、親しい友人や兄弟などにお願いすると良いかもしれません。謝礼の相場は5,000円~10,000円程度ですが、焼き肉など奮発したご飯を奢るのもアリです。車の運転まで頼むのであれば、もう少し上乗せしましょう。
動線の確保に関しては、旧居・新居の内部は忘れないでしょうが、集合住宅の場合はエントランスの入り口やエレベーターのサイズ確認もお忘れなく。エレベーターがなく階段を使う場合は、方向転換をする踊り場の大きさも確認しておきましょう。
マットレスほどの大きな荷物は公共交通機関に乗せることはできません。ゆうパックや宅配便でも大きすぎて対象外です(折り畳み可能なマットレスなら、サイズ次第では可能な場合あり。ただし、依頼日当日に到着は不可能です)。
したがって自分で運搬する場合には乗用車か軽トラックのレンタルが必要になってきます。自家用車がハイエースやステップワゴン、エルグランドといった積載量の多い車種なら、新居までのガソリン代の負担だけで済みます(サイズ的にはダブルでギリギリぐらい。キングはきついでしょう)。
手伝ってくれる友人・知人が積載量の多い自家用車を持っているなら借りても良いでしょう(謝礼は上乗せしましょう)。そうでなければレンタカーを利用します。
このクラスの車種であれば6時間以内なら15,000円~20,000円程度、12時間以内であれば20,000円内外でレンタルが可能です。マットレスは水平にして運びましょう。斜めにすると視界が遮られてしまって、安全運転に支障をきたします。
よって自分で運ぶときには最低5,000円~、高くても20,000円~30,000円程度も見積もっておけば十分ではないでしょうか。
マットレスの運搬を引越し業者に依頼する場合の費用目安
では、引っ越し業者にマットレスの運搬を任せた場合にはいかほどのお値段になるのでしょうか。
通常の引っ越し料金相場
引っ越しの相場は人数(荷物の量)や旧居・新居間の距離、時期、日程(平日か土日祝日か)によって左右されます。単身引越しの場合、同一地方内であれば50,000~80,000円程です。
2~4月は引っ越しが集中する繁忙期にあたり、同一地方内程度の距離であれば10,000円~20,000円程度プラスした引っ越し料金を考えたほうが良いでしょう。
2人家族の場合は90,000円前後、繁忙期で120,000円弱、3人家族の場合は100,000円、繁忙期で150,000円内外といったところです(いずれも同一地方内を想定)。
単身パックを使った場合、荷物が少なければ早期割引などの組み合わせをすることで20,000~40,000円前後に抑えることが可能な業者もあります。
ベッドやマットレスのみの料金相場
ベッドやマットレスだけを運搬してくれる引越し業者もあります。アーク引越しセンターではベッド・マットレス限定ではありませんが「大物限定プラン」という大型の家財だけを運搬してくれるプランがあります。
布団袋も2枚つけてくれる上、毎月1~20日は割引制度あり(土日祝・繁忙期を除く)。搬出・搬入だけでなく梱包から養生、指定位置への配置もしてくれるので力仕事が苦手・不器用な人でも安心です。
相場は15,000円前後ですが、HPには料金表が掲載されていないため、見積もりを取ることをおすすめします。
キタザワ引越しセンターの「全国家財宅配便」も注目に値します。「全国」とはいっても対応エリアは首都圏((東京・千葉・埼玉・神奈川))、中京圏(愛知・岐阜・三重)、関西圏(大阪・京都・兵庫)、福岡圏(福岡・佐賀)に限られる点に注意。
同一圏内であれば1㎡あたり8,000円、最も距離のある首都圏‐福岡圏でも18,000円です。縦195cm×幅97cm×厚さ20cmのマットであれば凡そ0,38平方メートルの体積ですから、最低料金で運搬してもらえます。
他社の場合マットが2枚だと1枚ずつ料金を計算して最低20,000円~となることも多いのですが、キタザワ引越しセンターはあくまで合計の体積だけで判断します。先ほど例に挙げたシングルマットであれば2枚運搬しても体積は1㎡以下なので、同じ料金で運搬してくれます。
キタザワ引越しセンターも梱包作業と設置までしてくれますよ。こちらの料金が安いのは混載便(他の荷物と一緒に運搬する)だからです。混載便は日付指定が基本的にできません。
他の荷物との兼ね合いもあるので、到着が遅くなるというデメリットも持っています。荷物の取り違えというヒューマンエラーが起こるリスクもゼロではありません。そこも踏まえて検討してください。
赤帽でマットレスのみを運搬した場合の料金
では赤帽で申し込んだらどうでしょうか。赤帽の場合も梱包や設置を行ってもらう場合は、マットレスだけの運搬でも引越し扱いになります。赤帽の引っ越し運賃は作業時間2時間以内・走行距離20Km以内の場合13,750円と決まっています。
それ以降は走行距離が延びるごとに加算されていくシステムなので、同一市区町村など近場の場合はかなり安く抑えられる一方遠距離になればなるほど料金が嵩みます。また、加盟している業者によってはマットレスのみの配送をPRしているところもあります。
シングルベッド用マットレス単品なら7,700円~とかなり格安ですが、利用者が手伝うことを前提にした料金設定であることを考慮しましょう。また、ベッドの枠も一緒に運搬する場合は内階段には対応しないなど、条件が厳しくなることに留意です。
引っ越しの際のマットレスに関するあるあるなトラブルや疑問まとめ
その他引越しに伴うマットレスQ&Aをまとめました。
マットレスは単身パックに入る?
多くの単身パックは、高さこそ170~180cm程度あるものの、幅や奥行きは150cm程度しかありません。シングルベッド用のマットレスでも積載するのは無理です。
その一方で布団の運搬は可能です。布団は2つ折り・3つ折りに畳むことができるからです。よって、シングルの大きさで折り畳み可能なマットレスであれば運搬は可能です。
引っ越しで新居にベッドやマットレスが入らない時の対処法は?
室内で再度組み立てるという方法を取ることがあります。追加料金が掛かるものの、大手の引っ越し会社であれば対応してくれることが大半です。
ただし、接着剤や木のネジを使ったベッドは再度組み立てると強度がガクンと落ちてしまうため、安全面から断られることがあります。イケアなどの北欧系のメーカーのベッドがよく該当するので注意してください。
もう一つの方法としてはクレーンを使って窓から入れることも可能です。これはベッドの枠組みもマットレスも対応できます。当日いきなりクレーンを手配するのはまず無理なので、引っ越し業者にベッドやマットレスを一旦預かってもらって後日作業を改めて行います。
クレーンの手配には20,000~30,000円は優にかかりますし、場合によっては預かり料が発生してもおかしくありません。しばらく寝具を使えないということにもなります。
このような事態を避けるためにも、動線とベッド・マットレスのサイズ確認は必須でしょう。(なお、道路事情の関係でクレーンが利用できない場合もあり、そうなったら処分するしかありません)。
【転勤族必見】楽に引越しできるおすすめマットレスは?
以上のようにマットレスの運搬は大変です。頻繁に転居を繰り返す人にとって、楽に引越しできるマットレスを3つ紹介します。基本的には折りたたみできるマットレスです。
ひとつ目はアイリスオーヤマの「エアリーマットレス」。折り畳み式ではありますが、11cmの厚さを誇り折り目が気にならない設計、高反発マットレスで腰痛もちの人にもお勧めできるアイテムです。さらに通気性も良く丸洗いも可能。布団のように床に直において使うことも出来るので、ベッド枠なしでも利用可能です。
ふたつ目はフランスベッドの「ラクネスーパープレミアム」。スプリング入りなのに折りたためる優れもので11kgと女性でも持ち運び可能な重量が魅力。折る部分に切れ目がないため、寝心地が良いのが最大の特徴です。
通気口があり湿気がこもりにくく、厚さも12cmもあり、単品で布団のようにして使えます。
最後にショップジャパンの「トゥルースリーパー」。厚さは7cmと薄手ながら、とろける寝心地が評判です。底当たりしにくい・抗菌加工、他の2つのマットレス同様、床や畳に直接敷いても使える優れものです。
この記事のまとめ(結論)
- マットレスの梱包は「エアパッキン」「大型ラップ」「シーツや毛布」を使って梱包する。
- 圧縮袋はメリット・デメリットを考えて利用を検討すること。
- 単身パックではマットレスを運んでもらうことはできない。
- マットレスだけの運搬をしてもらえる業者もあり、引越し作業全部をお任せするより費用を抑えることができる。
- 手伝ってくれる人と、大型の自動車を持っているのであれば自分で移動させると費用は抑えられる。
- 近距離移動であれば赤帽が最安ではあるが、自分も手伝う必要がある。
- マットレスを運搬する際には動線各所の広さと、マットレスの大きさを事前に確認しておくこと。
- 引っ越しに適したマットレスを選ぶなら折り畳み式で、ベッド枠なしで使える厚手の物が無難。